高崎は単なる商都でなく、能楽と深いかかわりをもった都市です。市の重要文化財に「清水寺の能楽の絵馬」が指定されています。この絵馬は、狩野派の狩野常信が描いた能の「熊野」の一場面です。喜多流の能を好んだ高崎藩主安藤対馬守重博が、元禄5年(1692)に奉納したものです。またその後の藩主松平輝貞、間部詮房らも能楽をことのほかたしなんでいます。その影響でしょうか、城下の町中に謡の師匠が多く住み、商人は教養と品位を高めるために、謡と俳諧とを競って身につけようとしたようです。今にその商人の風流の面影を残しているのが、この「たかさき能」で、それを23回も続けていることこそ、商都高崎の心意気だと思います。
(解説 吉永哲郎)
